週末図書館

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AI普及の、その先 (井上智洋『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』文春新書)

人工知能がもてはやされている。

囲碁とか将棋とかで有段者を負かしているからなのだが、この件について言いたいことがある。

すごいのは人工知能ではなく、そいつを開発した人間だ。

もてはやすのなら人工知能ではなく、開発者である。そして国を挙げて彼らを援助するのが良い。

 

 

そんな人工知能であるが、これらが普及すると困るのは一般の労働者である。

なんでも出来るロボットが登場したとしよう。

事務も営業も経理もなんでも出来るすごいやつだ。

今、こいつ一体のせいで3人が失業した。

そんな未来がくるかもしれない。15年後に。

 なぜ15年後かというと、2030年ごろに「汎用人工知能」の開発の目処が立つと言われているからだ。「汎用人工知能」とは上で述べたような「なんでも君」のことだ。これは人間のように様々な作業をこなすことができる。

現在の世の中に存在する人工知能は全て「特化型人工知能」と呼ばれる。

これは最初に述べたような囲碁や将棋をすることができる人工知能や、iPhoneに搭載されている「Siri」のように、目的に特化された人工知能のことだ。

特化型人工知能の普及は、イギリスで起こった第一次産業革命(1760~1830年)になぞらえて考えることが出来る。このときに発達したものの一つとして、「紡績機」がある。紡績機が広く普及したことにより、労働力が節約され、失業が増えるのではないかという懸念が当時あったようです。しかし結局のところ、労働力節約の結果、綿布を安く供給することが出来るようになり、綿布の消費需要が増大し、労働者の需要も増えた。

このように、技術的な革新があったとしても、労働者は別の業種や別の企業へと移動していくことで、失業は解消されていくのである。

では、汎用人工知能が発達したらどうなるだろうか。

人工知能は自ら学ぶ

近年注目されているディープラーニング(深層学習)により、人工知能は人から情報を得るだけでなく、人間から教わることなく物体の特徴を見出すことが可能になりつつある。こういった研究が進むとどんなことが起こるのか。

著者によれば、

2045年の未来では、ロボットが商品を作る無人工場があり、それを所有する資本家のみが所得を得て、労働者は所得を得られないかもしれません。(p.193)

 つまり、労働者はAIに置き換わるので需要が減り、その工場を所有する資本家のみが利益を得ることが出来る時代がやってくるかもしれないのである。

このままでは全ての労働者が飢えて死んでしまう。私も死んでしまう。

ベーシックインカムの導入を

では飢えないためにはどうすればよいのか。

ここで著者が提言しているのは、「ベーシックインカム」の導入である。

ベーシックインカム」は、収入の水準に拠らずに全ての人に無条件に、最低限の生活費を一律に給付する制度を意味します。また、世帯ではなく個人を単位として給付されるという特徴を持ちます。

 著者は「みんな手当」と表現している。わかりやすい。

でも生活保護とは何が異なるのか?

 

生活保護は適用にあたって、救済に値する者と値しない者に選り分けなければなりません。「資力調査」と呼ばれるそのような選別は、多額な行政コストを要するにも関わらずしばしば失敗に終わります。

不正受給が度々指摘される一方で、生活保護の受給額以下の所得しか得られないワーキングプアが野放しになっていたり、毎年のように餓死者が発生したりしています。

では財源はどこから捻出するのか。

ベーシックインカム(BI)を全国民に月7万(年84万円)支給するとすると、給付総額は年100兆円ほどになるという。また、BI制の導入に伴って、基礎年金の政府負担や児童手当、生活保護は廃止される。それによって削減される資金は合計で36兆円ほどになり、てれはBIの財源として振り替えが可能である。

そこで、100兆円-36兆円=64兆円を全て所得増税で賄うとするとどうなるだろうか。

著者によると、日本人の所得は250兆円ほどあるため、25%の所得税を新たにかければ64兆円を捻出することが可能だそうだ。

年収400万円の人は25%の100万円が所得税として新たに天引きされる。

こういうと100万円!?!!?!とびっくりこいてしまうかもしれないが、ベーシックインカムとして84万円が支給されるので実質負担額は16万円である。

また家が父母子の3人家族である場合、84万円×3人=252万円となり、

252万円ー100万円=152万円の純利益が生ずる。

家族が多いほど利益は増える。これくらい思い切った政策を行なうことで、少子化問題も解決されるかもしれない。