週末図書館

予定の無い週末、本を読もう。

新書・ノンフィクション

世界を変えた魚 (越智敏之『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』平凡社新書)

魚が好きだ。刺し身も、焼いたのも、煮たのも。 そんな魚が世界史とどのような関わりがあるのか、知りたいと思った。 帯の煽りがかっこよい。 近代以前、西洋人の主食は肉ではなく、都市の殷賑を、航海の新局面を、自由の精神を、ヨーロッパの近代をもたら…

AI普及の、その先 (井上智洋『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』文春新書)

人工知能がもてはやされている。 囲碁とか将棋とかで有段者を負かしているからなのだが、この件について言いたいことがある。 すごいのは人工知能ではなく、そいつを開発した人間だ。 もてはやすのなら人工知能ではなく、開発者である。そして国を挙げて彼ら…

色のシャワーを浴びる(加藤昌治『考具』CCCメディアハウス)

働いているとよく同僚から「なんかいいアイディアない?」などと軽いテンションで聞かれることがある。冗談じゃない。いいアイディアをそんな簡単に教えてやるものか。そんなものは私が独り占めし、上司から褒められ、評価が上がり、出世街道まっしぐらなの…

ブタによる殺人はいかにして裁かれたのか(池上俊一『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』講談社現代新書)

世界一悲しい象とも呼ばれた象のはな子が、昨年5月に亡くなったことは記憶に新しい。1956年にゾウ舎に忍び込んだ男を踏み殺したことと、その4年後である1960年に飼育員の男性を踏み殺したという二度の事故から、はな子は「殺人ゾウ」の烙印を押され、残りの…