週末図書館

予定の無い週末、本を読もう。

風呂に浸かりながら温泉案内を読む(宮田珠己『四次元温泉日記』)

先日隣接する市に用事があったので行った帰り、そこの大型書店へ寄った。私が住んでいるまちには大きな書店がないので、たまに訪れるこの本屋は私の心のオアシスである。 棚を物色していると、最近発売された一冊の文庫本に目が行った。 宮田珠己の『いい感…

最近のことと、京極夏彦『嗤う伊右衛門』

ブログを放置していた。 本を読んでいなかった訳ではないが、「ブログを書く」という行為に繋がらなかっただけだ。 ただ最近思うのは、アウトプットの重要性である。 ブログを更新していなかった1年間程の間に、私の中を通り過ぎていった本がいったい何冊有…

世界を変えた魚 (越智敏之『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』平凡社新書)

魚が好きだ。刺し身も、焼いたのも、煮たのも。 そんな魚が世界史とどのような関わりがあるのか、知りたいと思った。 帯の煽りがかっこよい。 近代以前、西洋人の主食は肉ではなく、都市の殷賑を、航海の新局面を、自由の精神を、ヨーロッパの近代をもたら…

忍法合戦ふたたび!「バジリスク」の新章がアニメ化!

山田風太郎の小説作品『甲賀忍法帖』といえば、「能力バトル物」のさきがけとも言える傑作。 2003年には「バジリスク~甲賀忍法帖~」としてせがわまさき氏により漫画化、2005年には同タイトルのアニメ化がなされた。 バジリスク?甲賀忍法帖?(1) (ヤング…

第157回芥川賞・直木賞 決定!【※2017年7月20日追記】

芥川賞は沼田真佑『影裏』 (文學界2017年5月号に掲載されています) 文學界2017年5月号 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/04/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 直木賞は佐藤正午『月の満ち欠け』がそれぞれ受賞しました。 月の満ち欠け …

AI普及の、その先 (井上智洋『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』文春新書)

人工知能がもてはやされている。 囲碁とか将棋とかで有段者を負かしているからなのだが、この件について言いたいことがある。 すごいのは人工知能ではなく、そいつを開発した人間だ。 もてはやすのなら人工知能ではなく、開発者である。そして国を挙げて彼ら…

「いつ」本を読むのか

今回は本を読む「場所」について、色々と考えていきたいと思います。

色のシャワーを浴びる(加藤昌治『考具』CCCメディアハウス)

働いているとよく同僚から「なんかいいアイディアない?」などと軽いテンションで聞かれることがある。冗談じゃない。いいアイディアをそんな簡単に教えてやるものか。そんなものは私が独り占めし、上司から褒められ、評価が上がり、出世街道まっしぐらなの…

ブタによる殺人はいかにして裁かれたのか(池上俊一『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』講談社現代新書)

世界一悲しい象とも呼ばれた象のはな子が、昨年5月に亡くなったことは記憶に新しい。1956年にゾウ舎に忍び込んだ男を踏み殺したことと、その4年後である1960年に飼育員の男性を踏み殺したという二度の事故から、はな子は「殺人ゾウ」の烙印を押され、残りの…